我々の生活はあらゆる情報に溢れています。
スマートフォンが普及してからは、その量が爆発的に増えました。
しかし、それらの情報をすべて有益に使えているでしょうか?
色々な情報にアクセスしてインプットすることに集中するあまり、アウトプットがおろそかになってはいないでしょうか?
情報はインプットするだけでなく、使ってこそ(アウトプット)脳に長期的に記憶されます。
この記事では、アウトプットする方法を、樺沢紫苑さんのベストセラー「アウトプット大全」をもとに解説します。
・仕事や勉強の成果をもっと出したい人
・自分の意見をうまく伝えたい人
・良いアイデアが浮かぶようになりたい人
アウトプットの定義とメリット

本書では
- インプット ・・・読む、聞く
- アウトプット・・・書く、話す、行動する
と定義しています。
そして、アウトプットをすることこそが、現実世界を変えられる手段であると述べています。
「本を月に3冊読んで3冊アウトプットする人」と、「月に10冊読んでいるが1冊もアウトプットしない人」を比較すると、後者の方が圧倒的に成長します。
成長は、インプットの量ではなく、アウトプットの量に比例します。
なぜなら、アウトプットには以下のようなメリットがあるからです。
- 記憶に残る
- 考動と現実が変わる
ひとつずつ見ていきましょう。
記憶に残る
アウトプットするときは、運動神経を使って筋肉を動かします。
- 手の筋肉を動かして「書く」
- 口やのどの周りの筋肉を動かして「話す」
- 全身の筋肉を使って「行動する」
これらの運動神経を使った記憶は「運動性記憶」と呼ばれます。
運動性記憶の特徴は、一度覚えるとそのあとはほとんど忘れることがないということです。
例えば、「一度自転車の乗り方を覚えてしまえば、数年乗っていなくても乗り方を覚えている」というようなことです。
また、人の脳は「重要な情報」は長期記憶として残し、「重要でない情報」は忘れるようにつくられています。
つまり、インプットをしても、その情報を何度も使わないとすぐに忘れてしまうのです。
インプットした後に何度かアウトプットを行うことで、脳に重要な情報だと覚えさせる必要があるのです。
その大体の目安としては、2週間で3回以上アウトプットすると、長期記憶として残りやすくなると言われています。
考動と現実が変わる
インプットとアウトプットを正しく行うことで、あなたの考動は間違いなく変わってきます。
アウトプットによって知識が身につくことで、自己成長が実現します。
するとさらなるインプットを行い、またアウトプットする。
このインプットとアウトプットの反復が、知的生産活動の軸になります。
それでは最後に、具体的なアウトプットの方法をいくつか紹介します。
アウトプットの方法

本書ではたくさんのアウトプットの方法が紹介されていますが、そのなかから私が取り組みやすそうだと思ったものを紹介します。
雑談する(=話す)
話すといっても、なかなか相手がいなかったりと難しい状況もあると思います。
そこで、じっくり話すのではなく、雑談程度でちょこちょこ話すというアウトプットの方法があります。
心理学用語に「ザイオンス効果」というものがあります。
ザイオンス効果とは、「人は接触回数が増えるほど、好感度が高くなる」というものです。
つまり、じっくり長く話すよりも、こまめに雑談をすれば、相手にはいい印象を与えることができ、かつアウトプットもできるというのです。
何か重要なことを…と意気込んで話すのではなく、気軽に同僚や周囲の人に話しかけて、自分の情報をアウトプットしてみましょう。
気づきをメモする(=書く)
良いアイデアを思い付いたのに、すこししたらすっかり忘れてしまった...
そんな経験はないでしょうか。
人は何かに気づいたとき、脳の神経回路がつなぎ変わると言われています。
そのような瞬間、体験は「アハ!体験」と呼ばれ、脳科学の分野で注目されています。
この脳内の新しい神経回路は30秒~1分で元の状態に戻ってしまいます。
ですので、何か気付きを得たらできるだけ早くメモをとる必要があります。
メモを取ってアイデアを書き留めておけば、脳内の神経回路はふさがらず拡大していきます。
この神経回路の拡大こそが、自己成長そのものといえます。
教える(行動する)
人に何かを教えることは、最も効果のあるアウトプットの方法です。
人に何かを教えることを前提として勉強すると、記憶力はアップします。
また、十分理解できていないと、人に教えることはできません。
つまり、人に教えるという目線を持つことで、自分の理解度の不足や不十分な点が明確に見えてくるのです。
教えるという行為はアウトプットのみならず、自分へのフィードバックを行える最強の自己成長術であるといえます。
読後に感じたこと

家の本棚に収まっている本の背表紙を見たときに、内容がいまいち思い出せない経験を何度もしました。
そのたびに読みかえして、またしばらくして忘れ…ということを繰り返していました。
記憶力は悪い方ではないが、どうしてだと思って本書を読んだとき、すべて合点がいきました。
それまでの私はインプットすることを最大の目標にしていて、アウトプットは全く行っていませんでした。
ただただ「本をたくさん読んだ」という事実に満足していただけでした。
それからは本を読む量を抑えて、じっくりと読んでからアウトプットをすることに重きを置くことで、読書の質を高めました。
面白いのが、他の本を読んでいても同じようなことを言っている人がいたことです。
ショーペンハウアーや渡部昇一さんも、多読をやめて熟考せよ(=アウトプット)と言っています。
つまり、私の中で「アウトプットすることがインプットの質を高める」ことは、真理となりました。
これからも読書をすることで情報を得ていきますが、そのたびにアウトプットし、成長していけたらと思います。
本書では、アウトプット大全というだけあって、今回紹介した方法以外にもたくさんのアウトプットの方法が紹介されています。
気になった方は手に取って、さらなる成長の糧にしてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。