今回はドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェの著書の中から珠玉の名言ばかりを集めた「ニーチェの言葉」をご紹介します。
ニーチェの哲学は非常に取りつきやすく、決して難しくありません。
過去に哲学を読もうとするも、内容の複雑さに断念してしまった人も、ニーチェの哲学なら大丈夫でしょう。
その理由も含め、「ニーチェの言葉」の魅力をご紹介します。
・過去に哲学書を読んで、途中で辞めてしまった方
・誰かに応援してほしい方
・哲学に興味がある方
☑短い言葉でかたられている

一般的に哲学書は、思想を正確に言語化するために体系的にまとめられており、それらをすべて書き連ねたものが哲学書として売られています。
言葉の定義や概念の定義の説明が多く含まれるため、内容はどうしても複雑になり、これが読者を遠ざけてしまう一因となっているのかもしれません。
ところが、ニーチェの哲学は他の哲学者と異なり、体系的にまとめることを目指しておらず、その一つ一つが断片的に語られています。
数分で読めるものばかりです。
それでいてニーチェの鋭い洞察力によって紡がれる言葉は力強い生気と意思を感じます。
だからこそ多くの人の耳と心に残り、読み継がれているのでしょう。
☑生きている人間のための哲学

ニーチェが生きた十九世紀までの西欧での絶対価値と真理はキリスト教道徳でした。
しかしニーチェは、「キリスト教道徳はありもしない価値を信じ込ませる、あまりにもあの世的な宗教だ」と批判したのです。
その道徳は生きている人間のためではないと考えたのです。
では現代人の絶対価値とは何でしょうか?
金銭的な潤いでしょうか?
それを自分の頭で考えるように促してくれます。
私自身は「人間の人生において表現できる絶対価値などない」と考えるニヒリズム(虚無主義)に賛同していましたが、ニーチェはニヒリズムにも反対しています。
いわく、「人生は普遍的な価値を得ることのできない流れという悲劇的(喜劇的)な存在であるが、世の真理を視ようとする力の意志こそが価値である」とのこと。
つまりは、答えはないが考え続けること(あるいは疑い続けること)が価値であるというのです。
この「考えること(疑うこと)」をニーチェは全力で応援してくれているように感じます。
ニーチェの言葉はこの世に生きている、考え続ける人間の背中を押してくれます。
☑芸術的な発想

多くの哲学者は自分の思想を述べ、その内容を実直に言葉で語りますが、ニーチェはそういったことをしません。
文字でありながら絵であるような、(こういっていいなら)小説に使われるような言葉で真理に迫ります。
この技はもはや芸術的であるといえます。
本を読むことが好きな人であれば必ず、「自分が過去に感じたあの感情を、こんなにも美しい言葉づかいで表現できるなんて!」と感じたことは、数多くあると思います。
ニーチェの言葉は、まさにそのような美しさをはらんでいます。
優しく美しく、気づきを与えてくれます。
☑おわりに
人間を含めすべての生物は、あらゆることにおいて楽ができるように進化してきました。
現代に生きる人間にとって考え続けること、疑い続けることは決して楽なことではなく、どちらかというと苦痛を伴うものでしょう。
だからといって考えることをやめてしまうと魂は錆びつき、心は廃れていきます。
そうならないためにも、大変ですが、考えていきましょう。
ニーチェの言葉がそのきっかけになれば幸いです。
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