こんにちは。
今日は実際にベンチャー企業で働いていて感じる、ベンチャー企業に転職して得たものと失ったものをご紹介したいと思います。
私が働いている会社は人数が15人程度の会社で、大学発研究開発型のバイオベンチャーです。
他の人(または会社など)が持っていない技術を特許化して、事業化に向けて改良と検証を重ねています。
前職は農林水産関連の一部上場企業で3年間、研究開発業務に携わったのですが、今後の人生の生き方に思うところがあって転職しました。
それについては別の記事で書いているのでそちらも読んでみてください。
一部上場企業から、ベンチャーという零細企業に転職した私が感じた転職して得たものと失ったものをご紹介します。
※あくまで個人の体験に基づく話ですので、他のベンチャーが同じであるとは思っていません。そのあたりご了承ください。
得たもの

仕事の裁量の大きさ
先に申し上げますが、私がベンチャー企業に転職して得たものはこれだけです。
記事を書くことをサボっているわけでもなく、本当にこれだけです。
厳しい現実ですが、ベンチャー企業に転職して得られるものはとても少なく、失うものばかりです。
ではなぜ転職したのかというと、その一つ得られることの優先順位が他と比べて圧倒的に高いからです。
得ているものの「個数」よりも、その「質」が大事だったということです。
それが「仕事の裁量の大きさ」です。
ベンチャー企業は常に人手不足なので、すぐに戦力になるような人でなければ採用されません。
つまり入社して少ししたらすぐにプロジェクトを任されます。
大手企業では中堅社員が行うような内容の仕事を、若手の間からどんどん任せてもらえます。
また、結果が最重要視されるので、やり方の自由度も高く、それに関してはよっぽど見当違いなことをしない限り、周囲から何かを言われることはほとんどありません。
自分の裁量で仕事をどんどん進めていけるので、仕事をしている実感を得られます。
大企業にいるとどうしても大きな組織の歯車になっている感覚を覚えてしまいますが、プロジェクトをこなしていくことができたら、仕事の充実感は上がり、成長するスピードも大企業にいた時とは比べ物にならないものになります。
これこそがベンチャー企業に転職して得た最大にして唯一のメリットです。
失ったもの

お金
私の場合、収入はベンチャー企業に転職してからのほうが高いのですが、大手企業にいたときは福利厚生が充実していました。
特に大きかったのが住宅手当で、会社の寮の家賃は1万円でした。
寮といっても会社が借り上げた、築年数5年の新しいアパート(間取りは1K)だったので、普通の一人暮らしと変わらない生活ができていました。
そのため、トータルで出ていく出費が抑えらえ、最終的に手元に残るお金は、大企業にいたときのほうが高かったです。
あらゆる安心感
大企業は資金力がベンチャー企業と異なり莫大ですので、そう簡単につぶれることがありません。
少々業績が悪化することがあっても、豊富な資金力で対策を打つことができます。
また、大企業で働いていると社会的なステータスとみられることが多く、例えばローンを組みやすかったり、ある程度人間性は担保されていると思われたり、恋人の親に安心感を覚えられたり、異性にモテたりします。
女性の場合だと産休、育休(性別問わず)が福利厚生として含まれますので、一時期仕事を離れることになっても、また正社員として戻ってこられる安心感があります。
さらに、一度雇用されると日本では解雇という形で会社を追い出されることが難しいので、法に触れるような失態を侵さない限りは、たとえグループ会社に出向という形だったとしても働き続けることができます。
その点、ベンチャー企業は不安定な要素しかありません。
福利厚生は厚生年金や、健康保険など最低限のものがあるだけで他はありません。
ベンチャー企業にたいして福利厚生は期待しないほうがいいでしょう。
そもそも会社の業績は不安定ですので、福利厚生はおろか、会社ごとなくなる可能性を常にはらんでいます。
創業後10年で倒産する企業は9割に迫るので、生涯働き続けることはないと思ったほうが妥当ですし、またいずれ転職活動をする必要があるのは目に見えています。
そういった点で、ベンチャー企業への転職はまさに、常に不安と隣り合わせになるような選択をすることです。
仕事に対する精神の安定
大企業にいた際は、会社の歯車として機能している感覚を得る一方で、ミスをした際に、たかが歯車一個のミスでは大きな損失はでないようにセーフティーネットが張られていたり、またはそのミスに対していきなり評価が下がって給料が下がるなんてことはありませんよね。
若手のうちに社長と一緒に仕事をするなんてことは大企業ではまずありえませんが、ベンチャーでは社長との距離が近いため、報告、連絡、相談を社長に行うことが頻繁にあります。
そのため、当然ですが社長からの期待とプレッシャーをダイレクトに感じることになります。
プレッシャーに対して耐性があるひとや、精神力が鍛えられている人はこの期待を追い風にすることができますが、精神的に不安定な人や周囲の意見に敏感な人はプレッシャーを感じることになり、より不安定な精神状態い陥りかねません。
社長に「戦力にならない」とレッテルを張られてしまうとなかなかその会社に居続けることは難しいと思います。
仮にメンタルが強い人でも耐性があるだけで、ストレスに感じることは事実であるため、仕事中に心が休まるときは少なくなるでしょう。
メンターの存在
大企業にいたときは先輩社員がたくさんいて、上司がいて、わからないことや困ったことがあっても相談して解決策を考えてアドバイスをくれるメンターがいました。
もらえるアドバイスは仕事に関することだけでなく、日々の暮らしのことや人生観など様々です。
また気軽にご飯にいって愚痴をこぼしたりできる同期という存在がいました。
さらに、定期的に研修が開かれ、スキルアップを望める機会もありました。
ベンチャー企業では上司や先輩というカテゴライズはなくなり、全員が対等な立場になります。
年齢や入社年数によって多少の上下関係はあると思いますが、大企業でみられた「教育する義務」はベンチャー企業にはないため、うまくいかない仕事の責任はすべて自分に乗っかってきます。
親身になって相談に乗ってくれる人はいないと考えたほうがいいです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
少々厳しい現実ですが、ベンチャー企業に転職したら失うものばかりです。
裁量の大きさゆえに得られる成長スピードのために、上記のリスクも背負えるかが転職を決める要因になると思います。
ベンチャー企業への転職を考えていらっしゃる方にすこしでも参考になれば幸いです。
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