今日は江戸川乱歩の傑作推理小説9編を集めた何とも贅沢な一冊、「江戸川乱歩傑作選」を処方します。
読んだ感想はというと、、、もうめちゃくちゃ面白いです。
読み終えた後の満足感たるや、筆舌に尽くしがたいです。
上質なミステリーに思わず舌鼓を、いや脳鼓を打つ始末です。
脳からよだれやらアドレナリンやらが出ているのがわかるくらい、上質なミステリーです。
寝る前に読むことはおすすめしません。
それでは江戸川乱歩さんの小説の面白い点を、ネタバレを防ぐため内容には直接触れずにご紹介します。
・ゾクゾクしたい方
・ミステリーが好きな方
・気持ち悪ーいことに耐性がある方
☑複雑なのに理解しやすいタネ

ミステリーの肝ともいえるタネについてですが、一見すると全く理解不能。
どうしてそうなっているのか皆目見当もつかないのですが、読み進めていくうちに、少しずつ全体が見えてきて、どんどん真に迫っていきます。
複雑に思えたタネがするすると解き明かされていきます。
この時に脳汁がダラダラとでてきて、もうえらいこっちゃです(笑)
この種明かしのスピードが絶妙で、読者を置いていくことなく、心地よいスピードで展開されていきます。
これは江戸川乱歩さんの小説には一貫して共通していることだと感じます。
このスピード感とタネの複雑さが相まって、読んでいる最中ずっと面白いのです。
一つの話が30~60ページほどで構成されているので、非常に読みやすく、読後には爽快感さえ覚えます。
☑登場人物が少なく、犯人が予めわかっている...けど面白い!

江戸川乱歩作品に共通して言えることですが、登場人物が少なく、割と早い段階で誰が犯人かわかる場合が多いです。
しかしそれで面白くなくなるどころか、より一層面白くなります。
なぜなら犯人側の心理や行動も描かれていくからです。
これが他のミステリー小説と一線を画すところだと思います。
たいていの推理小説は犯人が誰かわからず、最後に語られることが多いですよね。
もちろんそれも面白く、後になって語られる犯人の心理や動機も垂涎ものです。
しかし江戸川乱歩作品では違う方法がとられています。
そしてその描かれる犯人の心理描写が、共感できたり、許容できなかったり、はたまた気持ち悪さに身の毛がよだったりと、これまた面白く、ラストに向けてどう話が展開されていくのか気になります。ページをめくる手が止まりません!
(読前)ふむ…ほう…うわ…まじか…ええ…おお…おおお!…どひーん!!(読後)
みたいな感じになります。語彙力を失うほどの面白さです。
☑再読しても面白い

一般的に推理小説は犯人やタネが分かってしまうと再読に耐えません。
当然といえば当然ですが、犯人やタネが分からないことが推理小説の醍醐味なはずなのですが、江戸川乱歩作品は違います。
何度読んでも面白く、毎回新鮮な印象を得ます。
そんな推理小説がほかにあるでしょうか?
名作と呼ばれる推理小説を数多く読んできましたが、そのような作品には出会ったことがありません。
何度も楽しめるという意味では、江戸川乱歩作品は芸術作品といっても過言ではありません。
緻密に計算された推理芸術小説、ここに極まれり!
☑おわりに
いかがだったでしょうか。江戸川乱歩作品の面白さが少しでも伝わっていれば幸いです。
今回ご紹介した「江戸川乱歩傑作選」は江戸川乱歩の初期の作品の中から選ばれています。
これとは別に「江戸川乱歩名作選」というものも刊行されており、これはまた傑作選とは違うテイストの江戸川乱歩作品に触れることができます。
こちらも大変面白いです。
気になった方はぜひ読んでみてください。