今日は、ほしよりこさんの文庫漫画「逢沢りく」を処方します。
ほしよりこさんはネット上での連載をきっかけ書籍化されたベストセラー、「今日の猫村さん」をかかれた方です。
そしてこの「逢沢りく」は2015年、第19回手塚治虫漫画賞マンガ大賞を受賞しています。
・人の温かさに触れたい方
・くすっと笑いたい方
・関西出身の方
☑自分は特別な存在

東京出身の逢沢りくは、自分で自分を特別な存在だと思っている女子中学生。
父親が会社を経営しており、裕福に、大切に育てられました。
母親も野菜や米、水までこだわったものを使い、完璧すぎる料理しか作らない徹底ぶり。いやはや。
私が思うに、特別ではないと思うけど、両親含めて特殊な家族というわけです。
逢沢りくには一つ特技があり、哀しくなくても自在に涙を流すことができます。
そうすると周りは気遣ってくれる。そのたびに私は特別だとさらに思ってしまう。
そんな逢沢りくですが、父親は経営する会社のアルバイトをしている女性社員と不倫をしています。
そしてそれを逢沢りくは知っているのです。
母親を気遣って父の行動に対して反応するのですが、それが裏目に出てしまう…
さらに母親は子育てが落ち着いたため、仕事に復帰しようとします。
色々とタイミングが重なり、両親は逢沢りくを大阪の親戚の家に預けることにします。
当然反対する逢沢りく。
ですが反対むなしく、言い分を聞き入れてもらえず大阪に転校することに。
大阪の親戚の家で過ごしていくうちに、逢沢りくの心境に変化が現れます。
その変化を促したのが、人の温かさです。
☑関西人の、おせっかいという名のあたたかさ

私自身大阪出身であるため、この作品は共感することが多く、本当に面白いところが多かったです。
なんといっても関西人の描写が秀逸すぎる!(笑)
ほしよりこさんは関西に在住しておられるため当然と言えば当然かもしれませんが、言葉遣いだけでなく、おばあちゃんの世話の焼き方や、おっちゃんのクセなど、絶妙に面白いです。
関西の人、とくにオカンは、めちゃくちゃ世話を焼きます。
焼いて焼いて焼きまくります。
焼いて売って儲けてんのかってぐらい焼きます。
もういいって言ってるのにご飯を食べさせてこようとします!笑
大阪の親戚と出合うまで淡白な人間関係しかなかった逢沢りくですが、関西人の縦横無尽なやさしさに触れ、徐々にその心が解きほぐれていきます。
はじめは自覚がないのですが、徐々に自覚するようになり、最後は自らの意志に反して泣き出してしまいます。
どんな風に変化していくのか、そこはぜひ本書を手に取って読んでいただけたらと思います。
☑ユニークなキャラ

逢沢りくは中学生であるため、登場人物は学校の先生、クラスメイトなどがメインです。
それぞれのキャラもこれまた面白い。大阪の「笑い」の文化が申し分なく反映されていて、関西を離れて5年が経つ私は、郷愁を感じずにはいられませんでした。
関西圏に住んだことがある方なら、笑ってしまうこと請け合いです。
関西圏の方、関西出身の方に限らず、どんな人も面白いと思えるほしよりこさんの「逢沢りく」、気になった方はぜひ読んでみてください。
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